裸のバニー(2) コスプレ

 脱衣場から出てきた綾乃は、白のシャツブラウスに、スリットの入った黒のタイトスカートを身に着けていた。洒落たセルフレームのメガネも掛けている。女教師をイメージしたコスプレだ。
「どう? こんなイメージかしら?」
 彼女は小首をかしげて、こちらを見ている。

「うん、すごくいい。似合ってる」
 綾乃に見つめられると、どぎまぎしていまう。私は写真については素人だ。だから芸術的なポートレートが撮れる筈もない。撮影中に間が持てなくなることは十分に考えられたので、コスプレで撮ることにしていた。私のおよその希望を言って、衣装は綾乃に準備してもらったのだ。

 ちゃんとした照明機材を持ってくるべきなのだろうが、さすがに嵩ばるので諦めた。私は蛍光灯を部屋の蛍光灯をつけ、撮影を開始した。
「そこに立って、こっち側に体を捻ってくれる?」
 私の呼びかけに従って、綾乃は次々とポーズを取ってくれる。シャッター音が、次々と室内に響く。

「今度はね、ここに腰掛けて、ひざを組んでみて」
 部屋の隅にあるライティング・テーブル。そこの椅子を指し示す。綾乃はそこに腰を下ろして、その通りにしてくれた。スカートはひざ上15cm程の黒のミニだが、フロントに深い切れ込みがある。そこから、これも黒のガーターベルトと、その上に伸びた白い太ももが覗いている。

「そのままで、スーツの上を脱いでくれるかな」
 上着のボタンを、ひとつふたつと白い指が外してゆく。ジャケットが肩から二の腕を滑り降りてゆくと、上半身はシャツブラウスだけになった。胸元を守るべきブラはなく、代わりに乳首と乳輪がうっすらと透けている。自分の喉がごくりと鳴るのが分かった。

「脚を、組み替えて……」
 思わず、声がかすれてしまう。軽く咳をした。組んだ脚を下ろした瞬間を狙って、フラッシュを焚く。斜め上からスリットをすり抜けた光が、綾乃の股間を照らし出した。

「……見えた?」
 悪戯を見つかった子どものような笑みを浮かべ、綾乃はすぐに脚を逆方向に組み、スリットを手で覆うようにする。
「見えたって……何が、かな」
 光の中に黒い翳りが浮かび上がった気がしたが、ショーツなのか、それともアンダーヘアなのかはわからない。

 綾乃が、私の股間に目をやるのがわかった。ジーンズの上からでもはっきり形がわかるほど、さっきから私の分身は猛っている。このまま、一気に押し倒してしまいたい。そう感じるのに、その勇気がない。もしも、そんなつもりで来たんじゃないと拒絶され、ドアから外に出て行かれたら……。そう考えると、どうしても腰が引けてしまう。

 床に肩ひざをついて、前からカメラを構えた。綾乃は薄く笑って、私の目をじっと見つめたまま、ゆっくりとおとがいを反らせる。それに連れて、胸が自然と手前に突き出され、薄手のブラウスに乳房が押しつけられた。つんと尖った乳首と、程よい大きさの乳輪がくっきりと透けて見える。

 私は連続してシャッターを切った。そのやや金属的な音の他には、二人の呼吸音とかすかな衣擦れの音。既に高鳴っている私の胸で、更に心拍が加速する。
「見えたんでしょ? ホントは」
 綾乃の目が、私を見つめている。その瞳に宿った光がやさしい。

「……うん、まあね。綾乃、今もしかして……」
「残念でした。ちゃんと穿いてるよ、Tバックだけど」
 さらりとそう言って、綾乃は椅子から立ち上がった。私はそのままの姿勢で、彼女を顔を下から仰ぎ見る形になる。

「どんなポーズがお望み? それとも、もうおしまいなのかしら?」
 決して怒っているという感じではない。口調は、あくまでもやさしい。しかし、自分に対する欲望を解放できずにいる私を、どこか哀れんでいるような響きがある。

「股を広げてあげよっか? こんな風に」
 言うなり、彼女は右足を横にすべらせた。タイトミニの生地が、限界までぴんと張る。スリットの前に軽く片手を添えて、ゆっくりと腰を回し始める。私の目は、ファインダー越しにではなく、直接そこに吸いつけられた。

 
 裸のバニー(3)に続きます……
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